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提供者側の視点でなく、そこに住む人々の視線で 〜地域再生の罠〜 [2010年読書記録]


地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)

  • 作者: 久繁 哲之介
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: 新書


読書完了日:2010/08/15

【きっかけ】
各地域(特に県庁所在地や交通の要所的な街)に行くと、いつも既視感を感じる。同じような街のつくりで、同じような公共施設があり、同じお店がある。しかし、東京のような賑わい感がない。東京のミニチュア、あるいは金太郎飴のような街。

もちろん各地域の良さはあるんだけど、最初に訪れた際に感じる違和感はぬぐいきれない。
各地域も懸命に取り組まれていると思うのだが。
そんな「地域再生の罠」について、解説してくれている1冊。

【ポイントメモ】
・地域再生の施策が、中高年男性目線のものが多い。
 また「上から」目線の施策も多い。
・土建工学者が建物が完成したことで「成功」事例としてしまう。
 箱物を賑わうのは開店当初とイベント時だけ。
・「成功」事例の安易な模倣。本当に「成功」なのかの確認はない。
 成功は「提供者」目線のプロバガンダにすぎない。
・そもそも需要も共有もないのに商店街活性化は必要か?という
 根源的な問いはなされていない。
・利益は個店単独で出すのではなく、地域で利益を出す
・スローフードの本質は、「大切な人との交流」。
 グルメ化とは異なるもの。
・まずは地元市民に愛されること
・市民が主役になれる仕組みづくりが重要。
 (上勝町の葉っぱビジネス)
・心の空洞化
・7つのビジョン
 私益より公益
 経済利益より人との交流
 立身出世より対等で心地よい交流
 器より市民が先に尊重される地域づくり
 市民の地域愛
 交流を促すスローフード
 心の拠り所となるスポーツクラブ、居場所
・顧客を地域全体で共有する
・交流拠点。公的支援はここに集中する。

【気づき】
久々に読んでいて、引き込まれる感じでした。自分が各地域の都市で感じていた違和感の「モト」を明らかにしてくれた。土建のしがらみ、安易な他都市の事例流用、最初から失敗したときのことを考えた施策決定。そこにあるのは、「提供者側」の視点、言い訳のみ。実際に利用する人々の想いは、殆ど無視されている。

人とのつながりがある地域、都市。それが本来の姿であり、多くの人がそれを今求めている。しかし、何かを施策に落とそうという話になると、いつのまにか提供者側の話にすりかわっている。これは地域再生の話だけでなく、一般企業でも起きていると思う。お客さんのためにやっているはずが、いつの間にか自社の論理の展開になっているだけ。今自分が感じているストレスと同じである。

地域再生なんていう「形」にこだわるのではなく、様々な形で地域が楽しくなり、そこにいる人々が幸せになるような仕組みを作っていきたい。そんな仕事をしていきたい。ITをサポートツールとして使って、リアルな場を幸せにしていくような形かな。それが自分にとっての「地域とつながる仕事」。

【著者のブログ】
久繁哲之介の地域力向上塾

2010年48冊目
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