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島から学ぶ「幸福」、そしてそれを築き上げる人々の動き ~島会議 vol.2に行ってきた~ [日々、学ぶ]

日曜日に実施された「島会議 vol.2」に行ってきました。
6月に第1回が開催されていて、前回は出席できなかったのですが、今回は参加です。

「地域活性化」というと、ともすれば
経済の論理だけで片付けられがちです。

曰く、地域の活性化には
<ヒト・モノ・カネ>が重要である、と。
もちろん、それらが必要であることは否定しません。

ただ、全国で最もヒト・モノ・カネが充実していて、
活性化している地域は東京です。
だからみんな目指そうとするのだけれど、
どこでも東京のような都市になれるかというと
それが難しいことは自明です。
そもそも東京が本当に活性化した地域なのか?
という疑問もあります。

特に、島はそれが顕著です。


そんな「島」での「幸福」とは何か?
島以外の地域でも当てはまることは何か?
その島でどういう「生活」、「仕事」がつくられているのか?
(そして、裏で動く人々はどういう動きをしているのか?)

そんな興味を持って、「島」とは縁がない自分が参加してきました。

【プレゼンターの方のポイントメモ】

新島村商工会青年部 木村諭史さん
  http://niijimawedding.blog123.fc2.com/ (新島ウェディング)

 新島でのウェディングをコーディネートされている木村さん。
 新島でいかに仕事を形にしていくか、そのプロセスを中心に説明いただきました。

<新島の特徴>
・保育園から高校まではずっと同じクラス。
・葬儀屋はない。町会の若い衆が担当する。
  ⇒同一的なコミュニティ
・アリとキリギリスの価値観からすると、キリギリス的価値観
  (若者の街、何となくやりたい放題、補助金依存)

<実現に向けて>
・普段遊んでいる場所だからこそ、恩返しをしたい
 砂浜のバージンロード、流木アートの作成。
 料理も島内の飲食店に1店1品で依頼する
  ⇒地域に対する想い、感謝の気持ち

・発起人の存在。一度商工会で否決されても再度説得し、実現へ。
  ⇒強い思いを持つ人の存在

・公的なサポートの活用(商工会の提案型地域活性化事業を利用) 
  ⇒運営、バックを支える人の存在

・たまたま島内にいたWedding Planner経験者をスタッフに。
  ⇒単純にその人の現在の「職」、「雇用」だけを見ると埋もれてしまうスキル
   コミュニティのつながりの中から違うアプローチで発掘する


<実施をすると>
・「楽しい」だけでは片付かない課題が出てくる
  ⇒コスト意識、準備で「式」に出られないスタッフ

実施を重ねるとモチベーションの違いが明確になってくる
  ⇒楽しいから、祝いたいから、ビジネス視点、雇用をつくる etc.

・人の思いが原点にある。
 各自の活躍分野は違うとしても、心は「ひとつ」。
  ⇒「心」をベースに、人を活かす運営を。
   (頭を使うのが得意な人、身体を使うのが得意な人)

<まとめ>
・自分だけが楽しむのではなく、外にも発信する。
・ビジネスだけでは語らないが、資金管理も重要
・期間限定の制度に依存しない。
 当初は利用しても、自立していくスキームをつくっていく。
・実施のハードルを下げる。
 個人負担の体制ではいけない。地域に着地させる。


カフェ+宿 saro 高野要一郎さん
 http://saro-niijima.jp/ (カフェ+宿 saro HP)
 
 元々は建設業界。ソフトな場作りをしたいと考え、地元茨城でカフェなどを運営。
 東京R不動産とのつながりで新島でカフェ+宿をやることに。

<実現に向けて>
・島のコミュニティを全く知らなかった
  ・食糧の仕入れの方法も知らなかった
  ・物件を借りるにしても、「この島に親戚がいるの?」と言われてしまう。
   不動産屋も無く、物件の情報もない

  ⇒人との出会いで解決していく(体当たりでいくしかない)

<実現後>
・saroのスタッフ。ライターなどダブルワークの人が多い。
  ⇒島の人々の交流の中で、新たなプロジェクトの誕生

島の人が、島の「良さ」に気づく場所なっている。
  ⇒旅行者と交流する中で、自然に気づく場になっている

・経済効果。お客様にあわせて、島内のお店を紹介したりしている。
 実際に売上が伸びているお店もある。
  ⇒saroがメインではなく、島メインで考える。


studio-L  山崎亮さん
  http://www.studio-l.org (studio-L HP)

建築のデザインという考え方、アプローチ方法をベースに
島・地域での「幸せ」づくりについて、説明いただいた。
ボリュームがありすぎて、まとめが不十分なのはご容赦ください。

<考え方>
・community based
designとmanagementのバランス
・人口減だけど、「幸せ」に暮らしていく地域をモデルに。

<いえしまプロジェクト>
・当初は、「まちづくり」に対する関心の低さ
  ⇒当初はどうやったら「儲かる」かというプランばかり
  ⇒違う「豊かさ」を提案しても、反対されるばかり。
   (しかし一部の賛同者あり)

・行政財源に頼らない街遊び事業
  ⇒探られる島(ガイドブックを参加者でつくっていく)
   島の人には見せたくないものでも、価値あるものの発見
  ⇒徐々に島の中に「あがりこんでいく」形
  ⇒「総合計画」につなげる
  ⇒アクションプランのまとめ方
    「ひとりでできること」、「数人でできること」
    「大人数でできること」

   (プライベート、コモン、パブリックの考え方)

<海士町>
・iターン者と継続居住者の間にあるギャップ
  ⇒住民の顔がわかる形でアクションに落とし込む

<笠岡諸島>
・島のこどもたち(小学校高学年と中学生)と総合計画をつくる
  ⇒島には高校・大学がない(約10年間島に不在)
  ⇒総合計画を大人に提案する
  ⇒子供が帰省の都度、実行できているかをチェックする
  ⇒ダメなら、子どもは帰ってこない(ある意味、大人を脅す感じ)
  ⇒実際に大人も動き出す

・島の女性グループ
  ⇒利益の相反する人が、それぞれの夫。反対の力を
    「個(家庭)」の力でおさえて、実行に結び付けてしまう。

<まとめ>
・今までは、行政からの落ちてくる公共的な事業という仕組み
 ⇒今後は住民が実施する公共的な事業が増える
   (この事業に対するマネジメントが必要)

・公共的な事業への住民参加を通じて、「担い手」を育成する。
 ⇒新しい「チーム」が生まれてくる。

【気づき】
「島」という地理的な障害。
これは物理的なものであり、基本的には覆すことができない。

その制約が、同一的なコミュニティを生んだり、島への熱い想いを生む。(メリット)
一方で、自分たちの島の「よさ」に気づけず、閉鎖的になることも。(デメリット)

その「島」に対して、「よさ」を引き出すプロジェクトを仕掛けていくプレゼンターたち。
説明の背景に見えてくるのが、人々のどろっとした部分。
会社と家庭のような切り分はなく、自分の生活にもろに影響してくるので、
切実でリアルな反応が現場にはあるはず。

相反するモチベーション、利害関係。

「祝いたいのわかるけど、ビジネス的に儲けたいんだよ。」
「島の豊かさって言われても、お金がないと厳しいよ。」
「家を貸してって言われても、家族が帰ってきたときに必要だから。」

個人を犠牲にしての「豊かさ」はないと思う。
その部分にどう向き合い、話し合い、説得し、あるいはひく場合もあるのではないか。

その向き合い方に、正解や公式はあるのか?

たぶんそれはない(と思っている)。

モデルとなるものを探し、自分の理想を持ち、得意分野を生かしながらも、
今の目の前の現実のと折り合いをつけていく。
ロジックを組み立てるだけでなく、折り合う部分を一緒に「デザイン」していく感じで
プロジェクトを進めている。

そんな背景を垣間見た2時間半。その部分を今度は深堀りしてみたいですね。


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