サブプライム前に世界経済が拡大した仕組み~サブプライム後の新世界経済~ [2009年読書記録]
サブプライム後の新世界経済~10年先を読む「経済予測力」の磨き方~
- 作者: 中原 圭介
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2009/03/05
- メディア: 単行本
読書完了日:2009/09/08
このエントリーで紹介した本の著者がまとめた
リーマンショック後の世界経済の動き、個人が持つべき経済予測力について
とりまとめた1冊。
サブプライム問題発生のベースにある動き、そして現在実施に移されつつある
各国の対策の問題点をばっさり指摘。
国際分散投資が有効ではなく、所詮「金融商品を売る」プロである金融会社が
「売る」ための方策でしかなかったとばっさり切っています。
以下読書メモです。
・サブプライム前の世界経済拡大の構造。
アメリカ住宅価格高騰を担保にした消費拡大→アメリカ以外の国の生産拡大→
アメリカの貿易赤字拡大→アメリカ国債発行→アメリカ以外の国の国債購入。
※最初のスタートからおかしいし、お金がぐるぐる回って拡大していく構図。
非常にもろい仕組み。
・アメリカ人の考え方: 借金=レバレッジ(前向きな借金)
・経済学では実体経済は乖離してしまっており、予測はできない。
歴史学、心理学、哲学で、人の行動、心理をもとに予測することが必要。
・金融機関は、投資のプロではなく、「金融商品を売る」プロ。
・低成長社会になっていく。その中で、精神的に豊かになっていくことが必要。
・経済予測力を個人としても身につける。
事実を正しく認識する。必要な統計情報をおさえる。
2009年100冊目
お金は簡単に手に入るものではないことを子どもに教える 〜こころ豊かに生きるお金の入門塾〜 [2009年読書記録]
読書完了日:2009/09/04
奥さんが図書館で借りてきたので読んでみました。
サブプライムローン問題を予測したことで注目が集まっている
エコノミスト/ファイナンシャルプランナーの方のようです。
内容はものすごくシンプルにまとめられています。
入門本としてはよろしいかと。
子ども向け「金融教育」についての話は自分も納得。
株式の疑似トレードなど論外。最初から簡単にお金を稼げると
勘違いしてしまう可能性がある。
まずは働いて稼ぐことの重要性をまず教えるべき。
お金は簡単に手に入れられるものという考えを持ってしまうことの危険性を
説かれているのはすばらしいと思います。
(安易な消費者金融などにつながらないようにするために)
2009年99冊目
新しい動き ~これからを面白くしそうな31人に会いに行った。~ [2009年読書記録]
読書完了日:2009/09/03
Tokyo SourceというWebで展開されている様々なクリエイターや企画屋のインタビューをまとめたもの。
東京を起点に様々な動きがあることに改めて気付く。
自分がある狭い世界でうごめいていることを感じる。
世の中を新しい視点で編集すると違ったものが見えてくるはず。
自分にピンと来るのはやはりアート的なものより、
ローカルなものやパブリックなものへの気持ちが強い。
今回紹介されていたグリーンバードやシブヤ大学、
ルートカルチャーなどのインタビューに惹かれる。
ひとつ気になった言葉があります。伊藤剛さんのインタビューより。
今の時代はあまりにも「自分が住んでいるこの世界」に対する感度やリアリティが失われてしまっている。
確かにリアルな感じが自分の中から薄れている。
ただルーチンという日常があるだけ。
これはいかんということで、最近は自由大学に行くなどで
リアルさを取り戻そうとしているわけである。
2009年98冊目
タグ:book
自分に忠実に生きる 〜エグザイルス(放浪者たち)〜 [2009年読書記録]
エグザイルス(放浪者たち)―すべての旅は自分へとつながっている
- 作者: ロバート ハリス
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
読書完了日:2009/08/29
このエントリーで紹介した本の著者の自伝。
海外での放浪生活、オーストラリアでの書店経営。
家族の死、セラピーを通しての自分の治癒。
ものすごく壮絶。
とても自分では体験できるとは思えない。
そこがワクワクさせてくれるのかもしれない。
今の日本で感じる閉塞感を破るためには、
こういう人のパワーが必要なのでは?
あとがき「自分に忠実に生きる」とある。
そうすれば運が見方をし、同じハートを持った仲間が集まってくると。
「自分に忠実」
日本では今、これがすごく難しくなっている気がしています。
自分に忠実に動いてみよう。
【関連エントリー】
自分の欲望に素直に 〜人生の100のリスト〜:Simple life:So-net blog
2009年97冊目
マネーの世界はワンダーランド 〜なぜ投資のプロはサルに負けるのか?〜 [2009年読書記録]
なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方
- 作者: 藤沢 数希
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: 単行本
読書完了日:2009/08/25
金融日記の方の著作。
金融、投資について、ちょっと斜めな視点から
ばっさりと解説しています。
金融のもろさと言うか、儚さを見たいなものを小馬鹿にしている感じが面白い。
ここでもインデックス投資が推奨でした。
ただし、アクティブな投資家がいないと、インデックス投資も機能しない。
マネーの世界はワンダーランド。
ですね。
2009年96冊目
子育てが自己責任なのが日本、社会的連帯なのがフランス 〜フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由〜 [2009年読書記録]
読書完了日:2009/08/22
友人Yが紹介していた1冊。
同じ先進国にも関わらず、出生率が2.0を越えるフランス。
かたや日本は出生率の低下に苦しんでいます。
その違いはどこにあるのか?
日本は各家庭が子ども一人当たり2000万円ほどを養育費として
考えなくてはならない。ほとんどが学校関連の教育費で消えるわけです。
一方フランスでは、3歳から学校に通うことができ、無償。
フランスのベースにあるのが、子育てをするのは個人の自己責任だけでなく、
「社会的連帯」の中で行っていこうという考え方。
もちろんその分、国民負担率は日本より高い。
しかし、国民への再分配の仕組みはしっかりしており、
最終的な国民の間の所得格差は低い。
(この本によると、日本の相対的な貧困率は先進国内でアメリカに次いで、
2番目に高いと言う・・・)
お金だけでなく、子育て関連の休暇制度、女性の産後復帰、
フルタイム以外の勤務体系の充実などの施策も多い。
フランスのいい点の強調が多い部分を差し引いても、
やはり日本にある閉塞感を感じます。
経済的負担や格差による機会の不平等が生まれ、
子どもの将来を悲観し、子どもを持てないこの日本。
「人間性」が失われている気がします。
すべてがそのまま日本で適用できるわけではないと思う。
「社会的連帯」の中で子育てを行うという思想は
日本人は受け入れるベースはあるのでは・・・。
2009年95冊目
とにかくものすごいパワー 〜裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記〜 [2009年読書記録]
裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)
- 作者: 山口 絵理子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/22
- メディア: 単行本
読書完了日:2009/08/21
ものすごい衝撃と言うか、圧倒的なパワーを感じた。
こんな感じを受けた本は久々である。
もうちょっと早めに読んでおけば良かったと後悔。
いじめ、工業高校での女性柔道、留学して鬱病、
国際機関インターン、バングラディッシュの大学院、
起業、現地工場の裏切り。
言葉で書く以上にものすごい経験をしている。
等身大の自分ともちゃんと向き合えている。
本当すごいの一言。
いろいろ批判する人もいるんだろうけど、
想いの強さ、行動のすごさを知ったとき、本当に批判できるのだろうか?
彼女の根本は、この自分への問いかけがすべてな気がした。
君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?
自分が小さく見えてしまうけど、頑張ろうと思えて、
何か動き出そうと思えるすばらしい1冊です。
2009年94冊目
Small Startをハイブリッドで ~ハイブリッドワーカー~ [2009年読書記録]
アフタヌーン新書 011 ハイブリッドワーカー 会社勤めしながらクリエイティブワークする
- 作者: ヨシナガ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/11
- メディア: 新書
読書完了日:2009/08/16
「二足のわらじ」で生活する。
会社員として普通に仕事をしながら、土日や夜などを使って、
会社での仕事とは「別」のことを成し遂げる。
副業禁止から副業OKの世の中の流れの中で、
注目される仕事のスタイルである。
単純に収入補填という意味合いではなく、
自分の「好きなこと」や自分「らしい」ものをやっていく。
(必ずしも副業から十分な収入があるわけでもないし)
そんな「ハイブリッドワーク」を実践している方々のインタビュー集。
著者は「僕の見た秩序。」というサイトを運営し、
本を書いたりなどの「ハイブリッドワーク」を実践している。
他にも、
玩具メーカー勤務の漫画家。
芸能マネージャーしながら農業。
土木コンサル勤務で小説家(芥川賞受賞!!!なのに、会社は辞めない!!!)。
皆さん、家庭生活がうまくいかず、離婚していたり、
会社での付き合いに苦労したりと悩みはあるようですが、
その悩みも明るく語っています。
「未来の仕事」でも「会社を辞めずにまずはSmall Startで」という話があった。
ハイブリッドワークもそのSmall Startの一つの形。
新しい方が発展してから、専業にしてもいいわけですし。
このスタイルの場合、会社での昇進など狭いキャリアアップを気にする必要性が
薄れていき、両方の仕事に相乗効果があるかなと思っています。
一つのことに集中せず、広く活動することで、違う世界が見えてくるはず。
2009年93冊目
ハイブリッドワークでの芥川賞作品。
Amazonでの評価はイマイチですが、一度読んでみようと思います。
ケツメイシの「RYO」氏も最初は薬剤師とのハイブリッドワークだったとは。
今もそのときの恩義もあり、繁忙期などには薬剤師業もやっているとのこと。
驚きです。
閉塞感がちりばめられた・・・ 〜永遠の旅行者〜 [2009年読書記録]
読書完了日:2009/08/15
友人Yが紹介していたので、読んでみました。
マネー関係で有名な橘玲氏が小説を書いているのは知りませんでした。
やはり読ませる力を持っている著者。
かなり惹き込まれて読んでしまいました。
非居住者で居続けることで、納税義務を発生させない。
永遠の旅行者の主人公にしたサスペンス。
いろんな閉塞感がちりばめられていて、
その閉塞感の危険性を「永遠の旅行者」を使って、
表現している気がした。
ただ、村上春樹の言い回しに近いかなと感じたのは
自分だけだろうか?
2009年91/92冊目
「お金をもらわない仕事」と「お金をもらう仕事」 ~本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本~ [2009年読書記録]
読書完了日:2009/08/12
著者はブック・コーディネーターとして、様々な「本」関係の
プロジェクトやユニット活動を行っている。
ダブルA面的な本。「本の未来」と「仕事の未来」。
「仕事」と「本」、そして「未来」。
この本自体の存在は以前から知っていたが、手に取るまでに至っていなかった。
しかし、7月の「未来の仕事」、8月の「自分の本をつくる方法」という
2つの自由大学を受けていることもあり、
非常につながりの強いこの本を手に取ったわけである。
なんと著者のレーベルである「numabooks」も自由大学のある
「世田谷ものつくり学校」にオフィスがある模様。
今度探してみよう。
「本の未来」
様々な本を使ったプロジェクトが紹介されている。
本と言うある意味内省的なものを使って、様々なコミュニケーションを
生み出しているように思えた。
本ではある意味タブー的なこと(書き込みするなど)を使って、
新しい価値を生み出している。
「仕事の未来」
「お金をもらわない仕事」と「お金をもらう仕事」をそれぞれやる。
その「お金をもらう仕事」の中にも
自分のやりたいことに近くて「お金をもらえてしまう仕事」、と
自分のやりたいことと関係のない、「お金をもらうための仕事」
があると。
お金をもらわない仕事。
お金をもらうことを考えだすと、どうしても「お客様」という考えが出てきて、
自分のやりたいことからずれてきてしまう。
それがいけないというわけではなく、そのずれに気づくこと、
そして自分を見失わないために、「お金をもらわない仕事」を持ち続ける。
新しい視点を手に入れた気がします。
2009年90冊目